センター国語2009

センター試験を解いた感想を。

・国語の世界に慣れている私たちにような人種には、非常に素直で解きやすい問題なのだが、高校生にはつらいだろう。語彙や古文常識などで、やや経験が物を言う内容が含まれていたので。

・評論。漢字は訓読みが出題されていない珍しいパターン。その分、同音異義語がイヤらしい。難しいのは「多寡」くらいか。問2。従来の隠れん坊と「複数オニ」などの違いを傍線部直前から見つければ楽勝。問3。これも楽勝。なお正解選択肢「利己的」は「私的エゴイズム」や「私生活主義」に対応している。問4。ややこしい文脈だが、解答選択肢の構造から、「飽きることに飽きてしまう」後にどういう状況が来るかを探すのが楽か。問5。これも選択肢の構造から「かんを蹴って友を助ける行為」の持つ意味、逃れるべき「社会」の性質、逃れるとどうなるか、をそれぞれ見つける道筋。問6。最近多いパターンだが、具体例からの一般化、という手順になれていないと、5にひっかかってしまうかもしれない。

・小説。川端ではなかった。問1。「無聊をかこつ」とか「沽券に関わる」は、もはや死語か。我々おっさんには常識だが。(ウ)の「はかは行かず」の「はか」が「はかどる」「はかばかしい」の「はか」であることを、古文単語の勉強で知っていれば良いが。古文単語は、やはり語源を知るのがベスト。なお、秋田県南の方言で「はかが行く」というのがあるので、県南の高校生は楽勝か。

・小説続き。問2。小説が苦手な人が最も苦手なパターン。「父の七十年の全生涯はこの一軒の家で過ごされた」「それが今確実に消えようとしている」「黙り込む」と矛盾しないものを選べばよい。こういうのを消去法で解こうとするから、いつまで経っても点数が伸びないのだ。問3。これもはまれば間違う。傍線部そのものから「父の老いによる衰え」が根本的理由であることを読みとれば、これしかない。傍線部語の文章もそれを示している。問4。周囲に説明らしい記述がない場合は、傍線部そのものを、無難な範囲で言い換えただけのことが多い。こういうのこそ消去法だ。問5。これも「狂暴な衝動」「荒んだ心」と矛盾しないものを、消去法で選ぶ。問6。4も5も間違いになりようがない。6が間違いなのも、すぐ確認できるだろう。