今日の問題その86 こたえ

・正解は「寺山修司のあいさつ」でした。30年以上前の話、ってのがヒント。
 
・最近、タモリ寺山修司もブームである。寺山修司については「何を今更」と言えるような内容で盛り上がっているが、タモリブームはいささか怪しい動きをしている。
 
・というのは、どうもタモリさん関係の「美談」が不思議と聞こえてくるのである。また、何故か分からないが『タモリ論』なる書が売れているらしい。
 
・『タモリ論』は方々で不評であるらしく、書評などでも扱き下ろしばかり目につく。ま、あの内容では仕方がない。
 
・私も一応読んだが、「論」とは名ばかりで(最近は名ばかりの新書が多くて困る)、例えば「タモリが『いいとも!』をやることによって、たけしは北野武になったのです。」の根拠は、無いに等しい。
 
・致命的なのは、この著者が「芸人がネタでキレること」が分かっていないorわざと無視している、ということである。「さんまのまんま」で上岡龍太郎さんがゲストの際、お茶の入れ方に文句を言う龍太郎師にさんまさんが「おまえがやれ!」とキレた場面。「凄い剣幕でした。(中略)この世界から出て行く者に対して、容赦ない感じがして怖かったことを覚えています」と記述。そういう風に見えたのだったら仕方がないが・・・文句を言う芸風の龍太郎師に、ツッコミとして「おまえがやれ!」と言って落とすという、関西芸人同士の予定調和(いい意味ですよ)にしか私には見えない。
 
・同じことは、タモリさんがビートたけしさんを悪し様に言った場面や、ビートたけしさんが三宅裕司さんを悪し様に言った場面にも言える。もしかしてこの方は、「人志松本の許せない話」もマジにキレていると思って見るのだろうか。「そういう芸風じゃん」「ネタであって、本心じゃないでしょ」で終わる話が多いのである。
 
・もうひとつ致命的なこと。ビートたけしさんもタモリさんも、若い頃に比べ、ここ数年(10年以上経つかも)は発言がたいへん穏やかになってきている。攻撃的ではなくなっている、と言うべきか。その辺の差を意識せずに論じている部分が多い。
 
・最後にもう一つだけ。どうしても気になったのが2012年の27時間テレビについての記述。このときのことについて、「驚いたのは、たけしがタモリに対して初めて『タモさん』と呼んだのではないか」としているが、私の記憶ではもっと相当昔から「タモさん」と呼んでいる姿が放送されているように思う。それこそ過去のフジの24時間テレビ「BIG3」コーナーとか、「BIG3ゴルフ」とか。手元にビデオがないのだが(実家にある)、某サイトにあった「1991年BIG3ゴルフOP」では、はっきり「タモさん」と言っている。本文の「論」の根幹にかかわる部分なので、敢えて指摘しておく。