おーみーごーとー(by中原理恵)

・クイズの問題集は、いかにあるべきか。私は14年前、この記事で「わたしにとってのクイズ問題集の理想は『作品集』」と述べている。この気持ちは、今も全く変わらない。さらにここで13年前に述べているように、かの「水津本」も私にとっては「作品集」としての楽しみ方を想定したものであった。

・最近、「水津本」は90年代後半、クイズ問題が難化する上で影響を与えた、とする論調が増えてきた。無個性な難問が増える(ように思えた)中で、氏の個性的な難問群をそのように位置づけるのにはいささか違和感があるように思う。でもまあ、難問化を進めていった張本人が言うのだから、とりあえず信じておきましょ。

・で、『東大クイズ研 異次元クイズ』(データハウス)である。これが1080円で買えてしまうと、ほるぷ出版の本はやっぱり高いような気がする。恐るべしデータハウス。ま、値段のことは置いといて。

・前作までは、やや「お行儀の良い問題群」を並べていたが、ここにきて本性を現し始めた。いや、本作だってまだまだ彼らからすれば「体裁を整えた問題群」なのではないか。このくらいの問題が作れる人たちは、もう一段階も二段階もはじけることができると思う。

・いや、はじける、という表現は合わないかもしれない(私はこれら問題群を「ぶっ壊れている」とは見ていない)。問題を作ることを趣味としている人が、自分の中からわき出るもの、生活で触れてインスパイアされたもの、どうしても人に紹介したいこと、つまりはクイズにしないと気が済まないものを、ただ形にしているだけのことなのだと思う。そうしてできたものが「個性的である」のは、至極当然なことである。で、そこから出版にふさわしい問題を選んだ結果、こういう「はじけた問題集」ができた、ということであろうか。

・しかも、この本の場合は、十分に解説できる問題に絞っていることで、従来のクイズ本では考えられなかった「読み応え」をも達成している。硬派だ。阿っていないが、頷ける人はちゃんと頷ける。分かる人には分かる。私も問題作成に参加したい。

・あと、索引がすごい。

・TQCのOBでありながら、私はTQCのファンである。この辺でいったん商業ベースの問題集を休んで、また従来の活動の中で「蓄積」「発酵」をし、新しい問題群を披露してほしい。

・そういえば、今は「TQC杯」より「早押しチャンピオンシップ」の方が権威があるのね。第5回早チャン問題作成者として大変うれしく思う。

・・・・つい長文にしてしまった。今日こそ『QUIZ JAPAN』という同人誌について論じる予定だったのに。