昔の名前で出ています

・「昔のテレビは面白かった」「今のテレビはつまらない」という声を、良く聴く。一方で「たけしは過去の存在だ」「松本人志は後輩に持ち上げられているだけだ」「見ていて痛々しい」など、ベテランお笑い芸人(この2人に限らず)を「面白くない」と切り捨てる意見も、よく見る。

・当たり前のことだが、ネットなどで「よく見る意見だ」ということと、「国民の大多数がそう感じている」ということとは、全然一致しない。新聞の投書が、代表的日本人の意見では無いのと、全く同じことである。だから、ベテラン芸人を見て「面白くない」とする一部の意見に与する気は、全くない。

・ただ、過去に実績のある人が、解説者として優れているため、その役割を多く演じさせられてしまう現状が、今のテレビ界には確実に存在している。そのことが、ベテラン芸人を急速に「過去の存在」と認識させてしまうのではないか。若い人は彼らの全盛期を知らないわけだし。「なんでこの人は偉そうな解説をしているのだろう、先輩風吹かせて」くらいの気持ちでベテランが値踏みされている現状は、よろしくない。

・ベテランだって、勝負をしたいはずなのである。勝負させて、そのすごさをだれかが解説して見せなければならないのである。そうしないから、野村克也氏は強烈に自画自賛するのである。ところが、今は逆だ。評論家がだらしないから、なのだろうか。ま、解説しなくてもすごいものはすごい、と認められればそれが一番良いのだが、特にお笑いは正当に評価されないことが多いので、だれかがきちんと評価しなければならない。

・ということで、「松本人志のコントMHK」DVD鑑賞。「ビジュアルバム」もそうだが、これは確実にお笑い界の宝である。だから、みんなで正しく論評しないと。「売り上げが悪かったんだよなー」「当時の視聴率が悪かったんだよなー」程度の内容で批評したふりをするのは、そろそろやめにしないか。