犬の卒倒

・つまんない話が続いたので、全然違うつまんない話を。

・世間が東大王とかナゾトレとかに夢中な状況を横目に、私は「虫食ひ算大会」(佐野昌一=海野十三)をようやく解き終わった。

・虫食い算と覆面算とその複合がまぶされた良問群だが、はっきり言って覆面算はほんの少し慣れてしまえばこんなに簡単なパズルはない。難しいのはやはり虫食い算。つーか、虫食い算は少し難問になってくると、「しぼれるだけしぼって、あとはしらみつぶし」のパターンになり、かけ算を何十回も繰り返す惰性の作業になるため、はっきりいって苦痛でしかない。どうも「しらみつぶし」が性に合わない。

循環小数の虫食い算が1問だけ載っている。1問ということは、つまり解き方が1パターンしかないということだ。多少の数学的な知識が必要だが、しらみつぶし度がそこまで高いわけでもないので、まあ良問なんじゃないかな。

・これだけ解けばパターンはすべて網羅したことになるので、もう虫食い算は解かなくて良いかな。ちょうど飽きてきた頃に終わったし。

・パターンを網羅したらオシマイ、というのは、クイズとか東大王とかナゾトレにも言えるのではないか。ナゾトレの番組は見たことがないが、本はすべて読んでいる。作っている方には非常に申し訳ない言い方になるのだが、4~5冊目にもなるとネタ切れの所を無理矢理作っている印象を受けてしまった。「ナゾトレ」という形式で作れる問題は、あらかた作り尽くしてしまった、という感じなのではないか。

・これはナゾトレ問題作成者を批判しているのではない。1つの形式で作れる面白い問題なんか、限りがあるよね、そういうもんだから仕方がないさと言いたいのである。もうこの形式だとパターンは出尽くしたよね、という手前くらいで終われれば最高なのだろう。でも、テレビ番組とかでも、パターンが出尽くしたのに、編制の都合とかで何とか番組だけは続けなければいけないから、元々のコンセプトから外れても新しいパターンを無理矢理作り出す場合があるでしょう。

・結局、どれだけ面白い出題形式を供給し続けられるかだけが勝負になる。問題を考えるのはもちろん重要だが、それ以上に面白い出題形式を考える力こそが問われている(ってそんなの当たり前だ)。これはしんどい。

・で、面白いパターンが生み出されて番組が活性化していけばいいのだが(アタック25とかミラクル9とかは成功している方だと思う)、新しいパターンではなく「これってパクリじゃね?」みたいな新しいコーナーをじゃんじゃん入れるようになると、目も当てられなくなる。そういうケースもよくあるよねぇ。

・また、同じ形式ばかり出し続けていると、どうしても対策がしやすくなり、クイズ・ゲームとしてのおもしろみに欠けてくる、という問題もある。例えば「二重音声クイズ」とか「ダウトクイズ」とかを毎年恒例にすれば、対策が急速に進み、当初のドキドキ感は相当薄れるだろう。こないだ「後ろ姿でこの人誰?ビジュアルクイズ」を出したときは、もう二度とこの形式では問題を作らないつもりでネタ集めをした。一方、世界遺産を問う問題は、明らかにみんな対応しまくっていて、やや食傷気味。

・てことで、個人的には苦手な「世界遺産」の問題が完璧に出尽くされることで、とっとと世の中から姿を消していただければありがたいのだが。