全部やれ

・ひとつ前の記事(つまりひとつ下の記事)から、新作問題に進めることを一応紹介しておく。

高校生クイズ視聴の感想などを多少。全般的には、面白い番組に仕上がっていたと思う。それは、全然否定しない。

・ただ、クイズブームに火をつけたいからといって、あまり今回の番組を美化しすぎるのはいかがなものだろうか。たとえばこの記事。正直結論がよく分からないのだが、無理矢理何でもクイズに持って行く必要はないと思うのですがね。基本的に、200個の風船を早く割る方法を競うのは、やっぱりクイズではないと思う。クイズではないことも、高校生クイズでは当たり前にやるのだ、という定義でいいと思う。だってこの記事の筆者、卵のポン食いをクイズとは呼ばないでしょ(呼んだりして)。まあ、高校生をマジにしさえすれば、何をしてもいいのが「高校生クイズ」なのである(ここは完全に鶴君と同じ意見)。

・結局世間の人は、高校生クイズを論じることで、自分の持論を補強しようとしてしまうものだが、私もその轍を踏もう。私は「クイズは、対策しにくい方が深くて面白いはずだ」と思っている(異論は多いと思うが)。今回、新しい高校生クイズの姿を見せたことで「今までの高校生クイズ対策」がリセットされてしまった。そこで挑戦者の必死な(=マジな)姿が従前以上に鑑賞できたのではないかと考えている。てことは、こういう感じが2回3回と続けば、だんだんつまんなくなるのね。

・私はクイズ番組が疲弊するのは、「視聴者が飽きてくるから」よりも「解答者が慣れてくるから」という要素の方が強いと思っている。「アタック25」は、テレビ慣れ・クイズ慣れしていない解答者ばかりを選んで出すから、番組として疲弊しないのだ。だから、「99人の壁」も危ないよ。

・ところで今年の高校生クイズ。面白いと褒めたが、要は既視感がある企画が多かったということ。例えば、壁を越えるのは冒険家族クイズ2001を思い出した。でも、それらを練りに練って完成度を高めて提示したスタッフの努力はすごい。かなりネタを集めまくってシミュレーションをしまくったのではないか。それくらい高校生クイズは失敗できないのだと思う。「クイズ」の固定観念から解き放たれ、視聴率が取れない早押しクイズを捨てた(テレビ局的に見て)英断はすごいと思う。

・これが日本テレビの「全部やれ」精神なのだろうか。今時のクイズっぽい番組で見られる数字の取れる要素をすべて溶け込ませた(詰め込んだ、ではない)見事な構成。「知の甲子園」時代には上の空だった菊川怜も、今回はリアクションがよかったし。

・探究活動が新指導要領に採用され、壁を越えたりタイヤを運んだりする企画は、文部科学省も大喜びだろう。少なくとも普通のクイズをやってリテラシーが鍛えられるみたいなことを言うよりはね。

・番組が始まって、高校名にいちいち偏差値をつける演出(なのか?)には、正直言って辟易しまくった。が、これこそ「地頭力」は偏差値に比例しないという結論に持っていくための伏線だったわけだ。それにしたって、桜丘高校の偏差値をあんなに強調して大丈夫かいな(学校の許可は取ってると思うけど)。

・前回までのクイズっぽい企画からの大幅な転換。必ず「ここまで高校生クイズのために努力してきた全国の高校生を思いを無にするなんて!」的な批判をする人が出てくるが、そんなのは知ったことではない。クイズ番組なんてテレビ局の都合で勝手に変わるもんだ。そういえば、それだけ傾向が変わったのに桜丘高校の連覇をやたら強調していたのは、もしかしたらそういった批判を交わすためか?

・長くなってしまった。次回「KnockOut3」の感想と、「クイズドリル」の感想などを。