それは愛ではない(中島みゆき)

・私自身は、クイズ問題を出題して「そんなのクイズじゃない」と言われたり、出題中に露骨にやる気のない態度に出られたりしたことがないので、いまいち憤りを完全には共有できないでいるのが、非常に歯がゆいのである。

・それは私が問題を出題してきた環境に起因する者であり、決して私の出す問題が万人に受け入れられているからではない。自分で言うのもアレだが、私の問題は世間の大部分のクイズ好きの欲求を満たすようなものだとは思っていない。何処が一番問題かというと、ジャンルですね。

・だいいち、「99人の壁」と言いながら、実質15人くらいしか壁になりそうな人がいないジャンルで100万円獲得した「あいつうまいことやりやがったグランドスラマー」だ。スポーツは見ないし、アニメやゲームやアイドルにも明るくないし、ベストセラーの作者も書き出しも覚える気がないし、クイズ問題集を1日に2冊読んでいるわけでもないし、まあ世間の大部分のクイズ好きが好きな問題を作る条件が全くない。

・もっとも、世間のクイズ好きが、本当にクイズ全般を好きなのかは私には分からない。私は目の前で見たことが無いから「ほんまかいな」と思ってしまうのだが、こっちがクイズだと思って出題したものに対し「そんなのクイズじゃない」という不遜な態度を、本当にとれるものなのか(そんなの難しすぎるよ、なら百歩譲って理解できる)。もちろん、物事には程度問題というものがあるから、「赤信号みんなで渡れば怖くない」に対して「そんなの俳句じゃない」と言っても良いような気がするし、「花子さんが八百屋に行きました。さて、何でしょう」に対しては「そんなのクイズじゃない」と言っても良いと思う。だがしかし。

・まあ、私らおっさんの問題を見て「こんなのクイズじゃない」と思うのは勝手だが、それを平気で口にする不遜さはアウトだわな(そういう人が本当にいるとした場合)。競技クイズなる概念に基づいて、オープンと呼ばれる大会を頂点としたピラミッドに登ろうとする、という現在支配的なシステムに、もしかしたら排他性とか蔑視性とか自己正当化とか自意識肥大とか、そういう要素が埋め込まれうるのかも知れませんね。それを意識するとしないとでは、趣味としての楽しみ方が大きく違ってくると思う。

この書き込みを見て、「若い頃に相当苦労されたのだろう」と感じた。もしかしたら「クイズに洋楽が出ない=洋楽の問題は出すべきではない=洋楽の問題はクイズ問題ではない」というくらい極端な考えを持ってクイズをしている人が本当にいるのだろうか。だとしたら、なるべくそういう人とは接しないようにしよっと。それしかないもんね。なお私は、こういう文章を16年前に書いております。

・余談。「99人の壁」に一番近いテレビ番組は、多分NHK「のど自慢」。久しぶりに見て、そう感じた。「のど自慢」って、いつ見てもあんなにドキドキする番組って、なかなかないでしょ。