綱引きクイズについて 完

まだ話は終わってはいなかった。なぜ第8回のようなルールにスタッフが変更したのか、不明なままであるから。そもそもここまでの稿で、私は「綱引きクイズは第8回より第7回の方が、完成度が高い」という方向性を一貫して提示している。では第7回の方に、ルール上の問題はないのだろうか。実は第8回のルールは、第7回のルールを改良したものなのではないか? そういう方向から読み解くことはできないのか? それを探るカギは第7回の放送そのものにある。

第7回では、その後ボストンまで勝ち抜ける今井さんが、やたら先頭にいることに気づく。その後ろに女性が3人。実はこのルール、綱を引く6人がたまたま力弱い人たちだと、ずーっと解答権が後ろに回らず、先頭が変わらない状況が生まれてしまうのである。まして「裏切り」なんぞが起ころうものなら、目も当てられない。

第7回の綱引きチーム分けは、「朝早く起きた人から前に並んでいく」という形式だった。この形式の場合、体力のある人無い人を均等に分けることができず、力弱い人が特定のチームに固まることが充分起こり得る。また、一見合理的で平等に見える「各チーム6対6で綱を引く」というルールも、引く人数が少ない分、弱いチームの弱さが際だってしまう。弱いチームだから、問題が重なるごとにどんどんつらくなってくる。負のスパイラル状況は6人だけをどんどん追い込んでしまう。

ここまでくれば、第8回のルール改正の意味が見えてくる。

解答権が回らない状況は、「12対12」からスタートして、勝ち抜けが出るごとに引く人数の差が出るようにすることで、引き勝つ頻度を均等に調整することができる。また、チームの力強さもころころ入れ替わる。また、第7回では起こりにくかった「裏切ったのに解答権が来る」という状況も、まま起こり得る。

体力のある人無い人を均等にする、という点は、もしかしたら「朝飯早食いチーム分け」で改良を試みたのかも知れないが、こちらは確定できない。

スタッフの誤算だったのは、比較的先頭から順調に勝ち抜けていってしまい、後ろの方まで順番が回ってこなかったことだろう。これはひとえに問題の難易度が低かったことに起因する。最初の1周分くらい(20問くらい?)もう少しだけ難しめの問題を用意できれば状況は変わったのだろうが、長時間かけるとつらいルールであり、また最初に難しい問題を出しまくってしまうと早食いのメリットもなくなるし・・・。ということで、結局は問題の難易度も優しくせざるを得ない。また、モチベーションの面では前項のような問題点が指摘できる。

第7回ルールに潜む問題点。そして前項で見た第8回ルールの問題点。どちらをも解消できないことこそ、実は「綱引きクイズ」が持つルール上の限界というべきであろう。だから、この形式がチーム戦に発展解消していく、という私の結論は揺るがない。

このように、ウルトラクイズのルール上の問題点や限界を探る試みは、もっと行われて良い。ウルトラクイズがもはや「クイズの古典」としての地位を確立している以上、クイズの共有財産としてウルトラクイズルールを、「これからのクイズをもっと楽しいものにする」営為に利用することは、我々ウルトラファン且つクイズ好きの使命だと思う。
(この稿本当に終わり)