2008年総括 クイズ

・クイズ番組ブームは相変わらず続いている。大晦日をクイズで済まそう、という発想がテレビ界に起こる状況も、よく分かる。

・雑学王もなかなかネタ取りに苦しんでいる様子がうかがえる。ヘキサゴンⅡは特殊な形のクイズ問題が多いので、ネタも結構すぐ尽きてしまうだろうし、「雑学王」もそろそろきつくなってきた。最近はテレビ朝日御家芸の漢字問題に逃げてしまっている。

・ただ、こうしたクイズ番組たちが、何となくクイズというものの持つ面白さの一端を、世間の人に伝え得たということは評価して良いのではないだろうか。また、ヘキサゴンにしろ、雑学王にしろ、方向性はどうあれ、問題をかなり練り込んで作ってあることはよく分かるし、その点も評価すべきである。

・ただ、気になるのは、最近明らかにクイズが飽きられていることである。ヘキサゴン以外は「役に立つクイズ」というのを、前面に押し出している。世間の人が興味を持つネタで、かつ「役に立つ」という枠組みをはめた途端、問題はかぶりまくっていく。おそらく、来年こそはその傾向が破裂し、番組が淘汰されていくはず。

・私は、クイズが何かの役に立つ必要など、全くないと思っている。私は「トリビア」が結構好きだったが、「明日使える知識」という触れ込みが大嫌いだった。クイズを「知的好奇心」で引っ張る番組が多いが、「クイズを使って何を見せるか」という原点に戻った番組作りが行われればいいなぁ。「クイズ」はテレビにとって、何かを見せる手段に過ぎないはずなのだ。その意味で「高校生クイズ」は、一定の成果があった。ただ制作者が「視聴者目線」ばかりで、「参加者目線」をほぼ全く欠落させていたのは残念である。

・ま、高校生クイズのような「昔出題された難問を、さも超難問のように見せかける」ことが流行しないことを期待している。流行してしまうと、昔ちょっとクイズを消費していた、というだけの人がクイズ界(というものは無いのだが)で偉そうにする、とんでもない状況が出てしまうので。

・これは漢字検定の項で述べるべきことだが、漢字検定的クイズを売り物にした番組は、作り方がいかにも安易である。「漢字検定の過去問題から出題!」という触れ込みだけで、「ラクして作っているなぁ」と、嫌悪感が走る。雑学王の尻取りのように(あれも飽きてきたが)オリジナルの漢字問題を作りなさい。

・視聴率が比較的良かったという程度の理由で、高校生クイズを批判的に見る試みがあまり拡がらなかったことは残念であった。

・そういえば、「ヘキサゴンⅡ」の「アナウンスクイズ」って、早押しにする必要が無いのに、わざわざ早押しにしている。あのような形で早押し機を使う表現効果についても、考えられて良いと思う。