長文ですみません

・一応、立場上「ニュース・博識甲子園」について、いくらか申し述べておきたい。

・予選の形式は、要はペーパークイズだけ。それだけのために、多くの高校生が参加するようには思えない(「FNS」の予選もそうだったじゃん、といわれればその通りだが)。ペーパーだといわゆる「強い人」が絶対勝つに決まっているから、よほど自信があるか、よほど会場に近い地域の高校生でも無い限り、「力試しに受けてみようか」とは、ならないと思う。まあ、無料で受けさせる高校生が、余り多く来ても困るだろうが。会場からしても、そんなに多くの人が来ることを想定してないようだし(仙台会場は出張で行ったことがある)。

・参加条件については、言いたいことがあるが、諸事情のため省略。ただ「2018年4月1日の時点で18歳未満」ってことは、厳密に言うと4月2日生まれの高校3年生は参加できませんね。たぶん厳密には言わないんだろうけど。

・さて、私がこの件で一番問題だと思っているのが、参加条件にある「保護者の同意書、ならびに顧問または担任の同意書が提出できること」という話。そもそもこの大会、このページにも見られるように、「保護者了解の上での学校監督下で」参加できるように、学校の現状などをいろいろ調査してこられたのだと思うが、それでもなお、どうも学校という所をよく理解していないのではないかと思われる。

・まず、「学校監督下」という言葉は一般的ではなく、一般には「学校管理下」という語を用いる。ここだけ見ても、学校関係者が関わっていないことがよく分かる。まあ、それは措いておこう。

・実際問題、大会主催者が高校生の保険加入をしてくれるのなら、学校管理下であるかどうかなどは、たいした問題にはならない。「学校管理下か否か」が問題になるのは、ひとえに「独立行政法人日本スポーツ振興センター」の災害共済給付になるかどうかを判断するときだけだからだ。要は、「学校管理下」であれば、怪我をしたり事故に巻き込まれたりしても、ちゃんと給付金(平たく言えば生徒ほぼ全員に関わる保険金のようなもの)がおりる、というだけの話なのだ。

・部活動など「学校外で行われること」が、「学校管理下」であると認められるのは、基本的に学校長の指導監督の下、顧問などが引率している場合に限る(一応引率していない場合も学校管理下になる場合もあるが、遠方での活動の場合は認められないだろう)。顧問・担任の承諾書だけで「学校管理下」と認めさせるのは、やや無理があるような気がする。もちろん、協会が独立行政法人日本スポーツ振興センターに問い合わせてそうしたのなら別だが。

・一般的に言って、学校が生徒を大会に出場させる場合、「学校としての責任を果たす」ための最低条件として「何かあったときに保険金がちゃんとおりるようにしておく」というのがある。さっきの給付だけでは足りないから、例えば遠征に出る場合などは、校長名で参加承諾書兼お金を集める文書を作成し、ちゃんと保険に入るようにするのが普通のやり方である。「校長名」というところが、ポイントである。

・何度でも言うが、私は「大会主催者が保険加入(参加者負担でよい)しておけば、大会運営には全く問題がない」と考えている。学校の同意など必要ない。ただ、どうしても「学校が同意している」という雰囲気を出したいのであれば、「顧問や担任」などの同意は何の役にも立たない。やはり校長の同意をもらうべきである。

・学校というところで行われる業務は、「校長が行うべき業務」を顧問や担任が代わりにやっている、という位置づけだと思えば、ほぼ間違いない(「校長」は都道府県教育委員会という大企業の支店長だと思えば良い)。だから、注意を要する業務についてはいちいち校長(の代わりに教頭に)相談する。私が危惧するのは、そういうことをよく分かっていない若手の教員(結構いるんだこれが)が、独断で「生徒の参加に同意」してしまわないか、という点である。「高校生が参加したいと言っているのだから、学校が反対しても、私が同意の捺印をしよう」などと考える「心優しい」先生がいたら、大変なことだ。そんなことをして何か起きたら、間違いなく処分対象になるであろうし、「学校管理下」と世間から認めてもらうのも厳しいであろう。

・いろいろな協会のHPを見ると、引率者を必要とする大会は「高体連共催」のものがほとんどである。それ以外の大会については、学校からの引率無しで、本人や保護者の責任で参加し、協会が最終的な責任をとっている。協会ってそういうものではないのか

・というか、「学校同意書」とか「引率委嘱状」とかの様式を、なぜ公開しないのだろう?

・以上、教員として割と当たり前の感覚で綴ってみた。何か事故があったときの保障が無い状態で、大会を開くのは危ないよなー。